競馬の筋道

日本馬が海外レースに勝てない理由

馬の美しい筋肉の流れ

日本馬が海外レースに出走することは珍しいことではなくなりましたが、なかなか勝てないのが実情です。特に欧州のレースでは旗色が悪く、欧州最高峰のレースと称される凱旋門賞に日本馬は早くから挑戦しているにも関わらず一度も勝利したことはありません。1969年に天皇賞馬だったスピードシンボリが出走して半世紀以上が経過しますが、最高着順がオルフェーブルとナカヤマフェスタの2着です。

なぜ海外レースに日本馬が勝てないのかというと、その理由の1つは芝の性質です。日本の競馬場の芝は海外、特に欧州のものと比較すると硬くて走りやすいです。それとは対照的に、ヨーロッパの芝は柔らかくて走りにくいです。日本のスピードが出やすくパワーが要らない芝で走っている馬とヨーロッパのパワーを必要とする芝で走っている馬とでは、やはりレースにおいて相当の差が出ます。また、日本馬が欧州のレースに勝てないのと同様に、欧州の馬が日本のレースでなかなか勝てないことからも芝の違いが馬の走りに影響が大きいことは明らかでしょう。

もう1つの理由は血統です。欧州では重い馬場を走ることができるパワー系の血統を組み合わせて繁殖させますが、日本馬はスピード系の血統を組み合わせる傾向にあります。それによって、日本馬は平坦のレースでは速く走ることができますが、海外の起伏の激しいレースコースや馬場が重くなっているレースに対応することが難しいのです。他にも、海外レースに出走するには莫大な遠征費用がかかりますので、日本の有力馬を持っている馬主は国内レースに専念させたい意向が強く、海外レースそのものに挑戦する機会が少ないことも挙げられます。